勝手に運命を感じて好きが増すということ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絶対、娘を内くんに会わせたいって言ってね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今も年に1度ある、某夢を叶える番組。

 

「あなたの夢は何ですか?」と聞き夢を語る。

 

そうすると番組内で、運良く選ばれた人だけが叶うはずなんてないと思っていたような夢を叶えてもらえる。

 

 

田舎にもその取材はあって。

そんな様子をテレビで羨ましく見ていた小中学生の頃の私は、何度も母にお願いした。

 

もしも!もしも!

私が学校に行っている間、このテレビの取材が来たら!そしたら娘の夢を叶えてほしい、って伝えてね!と。

 

今思えば、なんてワガママなんだろう。

母もきっと夢はあるし、いや、というか、そもそも、そう簡単に取材も来なけりゃ夢も叶わない。なんて純粋無垢だったんだろうと笑ってしまう。

 

 

 

 

 

内くんに会ってどうしたかったか?って、

「好きだ」と伝えたかった。

 

私は別に内くんに恋愛感情を抱いてはいなくて、ただただアイドルとして大好きだ。

それを伝えたかった。

 

それ以外にどう思っていたかは全く覚えていないけれど、しきりに母にお願いをしていたことだけは覚えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから10年以上経った、2018年の夏。

 

 

 

 

私は相も変わらず内くんが好きだった。

 

 

 

 

2017年に引き続き2年連続のライブ。

自分のお金で東京へ行けて、隣には大好きな友人がいて、大好きな内くんの歌を聴けて。笑顔を見ることができて。

 

もうこれ以上の贅沢はないぐらいに幸せだった。

そんなライブの最後に、

 

「ハイタッチでお見送りします!また後で!」

 

そんな言葉が、耳に入ったような、入っていないような。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内くんを知る人になら伝わるかもしれないけれど、いくら前列で彼が歌う姿を見ようとも、まるで実在していないように感じる。幻を見ているのかと思うぐらいに綺麗で、ステージに立つとなおのこと、とんでもない輝きを放つ人。

 

そんな、幻みたいな人が、信じられない言葉を発したのだから、もう、どこまでが現実だったかわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

割と長い時間そわそわ過ごした。

頭の中で何度も練習した。

 

「ずっと好きです、ずっと好きです、…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の番が来る。

スタッフさんの「左側の手を空けて…」という指示だけ覚えてる。

 

 

 

 

 

 

 

「ずっと好きです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな感嘆符のついたように元気良く、

幸せそうな笑顔でニッコリと。

そんな風に言えた記憶はない。

 

きっと今にも泣き出しそうだったと思う。

 

 

 

 

内くんは、「ありがとう〜」と言ってくれた。

 

眉を動かすようにして、眉尻を下げて、とにかく優しい顔で。うんうんって頷いて聞いてくれた。

 

 

こんなに優しい顔で目を合わせてくれる瞬間が訪れるなんて。

 

例えるならば、何か愛おしいものを見つめるみたいな目だったのだ。内くんは、ファンのことをこんな風に見つめるのか、と。

 

例えようのないドキドキした気持ちになった。

幸せにはこんな形もあるんだ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何より。こんなところで私の夢が叶うなんて思いもしなかった。

 

夢を叶える番組ではなく、大好きなアイドルがライブのサプライズとして企画してくれたお見送りの中で、私の夢は叶った。

 

 

 

 

 

 

「サプライズって言えるかわからないけど」なんて言っていたのに。

 

 

発表の瞬間には膝から崩れ落ちて、

会場から出てボロボロ泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内くんのことを好きな理由は十分過ぎるぐらい山ほどあるのに、私の昔からの夢をいとも簡単に、こんなタイミングで叶えてくれるなんて。

 

 

馬鹿みたいな「絶対に叶わない」と思われそうな、それでいてなぜか「絶対に叶えたい」と思う程強くてまっすぐな気持ち。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"小さい頃からの夢"って、大人になっていろんなことを知るたびに、だんだんと、叶わないことを知ったり自分から遠ざけたりする。

 

 

内くんだけは違った。

内くんはすごい。

 

 

 

 

これがアイドルか、と思い知らされる。

嘘みたいな偶然に勝手に運命を感じている。

 

 

 

 

好きなところ、たくさんあるけど、

私が生きてきた毎日に、特別な偶然をもたらしてくれる人だから。

 

 

 

 

私は内くんのこと、

 

運命ごと好きになっているんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

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